BLACK MOLESKIN
ユーロワークに注目が集まり、すっかり市民権を得たモールスキンは、フランスで100年以上の歴史を持つ素材です。
当時のワーカー達のニーズに応えるべく、高密度で鈍い光沢を放つコットン地は、生産効率の壁に阻まれ一旦は姿を消しますが、今日では経年変化を愉しめる素材として広く親しまれるようになりました。
フレンチワークの代名詞とも云える『モールスキン』、本日は”Black Moleskin”を使用した黒いワークウエア『Moleskin Double Breasted Work Jacket & Atelier Trousers』のご紹介です。
一般的なイメージのモールスキンは起毛されたコットンスウェード的なタッチですが、今回使用したモールスキンは起毛感が無いサテン織り。
通常ですとサンドペーパーなどを使用して生地を引っ掻き毛羽立たせ、肉厚でボリュームのある生地感ですがその工程を省いた、鈍く光る光沢感を表現しています。
古着屋さんや生地屋さんなど職種や人によって、モールスキンの解釈が若干異なる生地ではありますが、フレンチモールスキンと云えば起毛感の無いこちらをイメージされる方もいると思います。
経糸よりも緯糸の本数を増やした横繻子織りにすることで、糸の並びによってこの光沢感が生まれ、黒光りと云う言葉が相応しいかと。
世界三大綿の1つでもあるエジプト綿【GIZA】は繊維の1本1本がとても細く、長い希少な品種で『白いゴールド』とも呼ばれ、価値ある高級品として扱われる『綿の王様』とも云える素材で、高密度に織り上げられたモールスキン。
ギザコットンならではのキメの細かく滑らかなタッチでとろみと光沢感のある風合いが特徴です。
ヴィンテージ市場での高騰は目を疑ってしまうレベルのブラックモールスキンですが、ウエィトは若干抑えた肉感となっています。
歴史的背景として1950年代に遡ると、作業着としてフランス国内で多く着用されていたモールスキンのジャケット。
中でも炭鉱夫に愛用されていたのは有名な話で、フランスで1931~1934に出版された『LA FRANCE TRAVAILLE』では当時の労働者の様子をよく据えており臨場感満点の写真集は、資料としても様々なブランドがサンプリングしています。
デザインは60年代のフレンチワークジャケットをモチーフに作成されたダブルブレストのジャケット。
コックジャケットにも類似したデザインですが、スタンドカラーでダブルブレストのジャケットは市場では『博物館級』と云われるほどの逸品です。
品を感じる素材にダブルブレストのデザインがよくマッチし、12個あるラッカー仕上げのフロントボタンが圧倒的なオーラを放っています。
裾には脇に流し込まれたパッチポケットが2つと胸ポケが1つ、右側のみ内ポケットが付いています。
身巾にはゆとりを持たせ、着丈は若干コンパクトに仕上げています。
カバーオール調のサイズバランスでフロントの開閉やボタンの留め方で、着こなしのアレンジが愉しめるのもポイントの1つ。
ボタンを全て留めてスタイリッシュに着るのも良いですし、羽織りのジャケット感覚のような着こなしでもアリですし、下のボタンを2つぐらい外して、Aラインのシルエットで着るのが個人的にはおススメです。
袖はカフスで2本タックが入っており袖をキュっと絞ってあるため綺麗に湾曲し、全体的に丸みを帯びたラインとなっています。
どことなく柔らかい印象で、フレンチワークらしさを感じられます。
フランス縛りでM47パンツを合わせようと思いましたが、コーディネートの着用回数が多かった為、Gurkha Trousersとバンドカラーシャツにクラシック且つシンプルに、ジャケット軸でのコーディネート。
アイビーやプレッピーと云ったアメトラに通じる匂いさえ感じるデザインは、見た目以上にコーディネートにすんなり溶け込むと思います。
どのようにエイジングしていくか楽しみであり期待したい、育て甲斐のある1枚となっています。
こちらは同素材を使用した、1940年代のユーロワークパンツをソースに作成したトラウザー。
フロントは一見チノのようなシンプルなビジュアルですが、裏にバックルの付いたワークパンツ。
ギザコットンの素材感も相まって無骨なワークパンツに高級感をプラスしています。
腰に付くバックルバックベルトはベルトループを通じて、脇接ぎに流し込まれているので後ろ全体でウエストの絞り込みが可能です。
私はヒップの厚みが無いため固定は出来ませんが、腰回りにボリュームのある方でしたらベルトレスでの着用が可能です。
Gurkha Trousersをはじめこういったパンツはタックインしてディティールを存分に活かしたいところ。
ノンタックでヒップからワタリにかけてゆとりを持たせ緩やかにテーパードを入れたゆったり目のシルエット。
股上は深く、サラッとした質感・着用感は癖になる着心地です。
今季のパンツの特徴でもある1つ、テーパードを幾分抑えた裾幅(M寸24cm)となっており、パンツの雰囲気やルックスからすると革靴が相性良いでしょうか。
通常パンツはSサイズを選ぶ事が多く、こちらのパンツもそうですが、シルエットが全体的にルーズな為、Mサイズぐらいのサイズ感でしょうか。
巻き縫いのダブルステッチで丁寧且つ丈夫な縫製となっています。
ワークパンツをドレスパンツかのように昇華させたアトリエトラウザー。
素材を全面に打ち出したトラウザーとなり、取り入れる事でエレガントに纏まり世代を問わず穿いて頂きたい1本です。
あまり他では見かける事の無い極上の素材感を、是非店頭にてご確認ください。
■ Moleskin Double Breasted Work Jacket ■
material/100% Cotton
color/BLACK
size/S.M.L
price/¥37.400(Inc Tax)
Moleskin Double Breasted Work Jacket商品ページ→https://shop.brick-layer.jp/?pid=163938201
■ Moleskin Atelier Trousers ■
material/100% Cotton
color/BLACK
size/S.M.L
price/¥26.400(Inc Tax)
Moleskin Atelier Trousers商品ページ→https://shop.brick-layer.jp/?pid=163938387
Bricklayer Horii