40’s French Army Trousers


モデル身長172㎝、体重57㎏、サイズS着用

軍モノの面白みと云えば、デザインやディティールが各国間で違うところ、国の立地や戦場、環境がそうした違いを生み出していると思います。

中でもヨーロッパ、所謂ユーロミリタリーと呼ばれるものには、形容し難い独特の上品さがあります。

ミリタリーの枠を超えて、今や定番アイテムとなったミリタリーパンツ、その本家本元と云えば『M-47』カーゴパンツ。

仏軍が開発した多くのアイテムの中でも最高傑作と称されるほど、細部に至るまで高い完成度を誇る逸品。

本日はM-47パンツをソースに作成した6ポケットパンツのご紹介です。


素材はコットンツイルでもヘリンボーン地でも無く*A VONATADEがセレクトしたマテリアルは『馬布(ばふ)』。

あまり聞き慣れない生地ですが、乗馬をする際に馬の背に付ける”鞍”を、滑り落ちにくくする為に、馬の背と鞍の間に敷く、高密度の綿生地のことを言います。

遠州にてシャトル機で高密度に打ち込んだ平織り生地にパラフィン(蝋引き)を含浸させて硬さを出した先染めの生地となっており、強度や風合いに富んだ素材です。

初めは硬さがありますが、生地の厚みはそれほどでも無く、着用しているうちに加工が落ちて柔らかくなり、身体に馴染んでいきます。

摩擦や引っ掻きでチョークマークが発生する場合がありますが、パラフィン加工特有の”アジ”として捉えて頂ければと思います。

デザインは深めの股上に太目のシルエットでトップボタンが2つの前期モデルがモチーフです。

両脇のフラップ付きの大きなポケットと裾のアジャスターが特徴的なカーゴパンツ。

こちらのパンツを語る上で必ずマルジェラの名前が付いて回りますが、それほどフランスの縫製技術の高さや手の込んだ作りは世界中から名作と称されています。

個人的な見解ですが、後期は都会的な雰囲気を持っており、前期タイプはヴィンテージ感があり、生地の好みもありますが、太いシルエットが個人的には気分です。

こちらのパンツに限った事ではありませんがこのM-47を作る上でシルエット・生地感・縫製の3つの要素は特に重要なファクター。

力量が試されるパンツとでも云いましょうか、『しっかりとした物作り』を謳っているブランドのみ許される作り込みの凄さが、デザイナーの職人気質な人柄にピッタリなパンツかと。

3面マチになっている為、カーゴポケットのボリューム感があり、膨らみが他には無いアイデンティティーとなっています。

2重に取り付けられたボタン、フラップ裏の当て布、サイドポケットは生地を割って縫製しポケット口にはカンヌキ留め、股下の当て布、膝のダブルニーなど、補強を目的に作り込まれた良い仕事は挙げれば切りが無いほどに丁寧且つ細かく作り込まれたディティールです。

カーゴポケットやバックポケットはボタンが引っかからないようにダブルフラップでボタンが隠れるディティール。

脇には巻き縫いのダブルのチェーンステッチでスパイスを加え、これはまさに『ディティール(縫製)の玉手箱』。

着用時の股のあたりや腰周辺の形は絶妙に綺麗で、シルエットは緩やかにテーパードしており、着用した際のシルエットが◎で、甲低の革靴はベストマッチと云えるでしょう。

1度洗濯をしましたが、丈が1㎝弱の縮みのみだった為、サイズ選びは通常でよろしいかと思います。


こちらはMサイズ着用のブラック、ジャストサイズはSになりますがワイド志向の方はワンサイズアップぐらいまでが許容範囲かと思います。

オリジナルには無いカラー展開にする事で、無骨さは軽減され、どこか品の良さを伺わせる1本かと。

採算度外視とも云える破格のお値段となっています。(泣)

長々としたブログになってしまいましたが、明瞭簡潔と往かないところもこの『40’s French Army Trousers』の魅力の1つではないでしょうか。

云うならば究極のミリタリーパンツが米軍のM-65で(機能的な意味)、至高のパンツがM-47(デザイン的な意味)かと思います。

同素材で作成したカバーオールはまた次回に。

■ 40’s French Army Trousers ■

material/100% Cotton
color/CHARCOAL,BLACK
size/S.M.L.XL
price/¥25.000+tax

40’s French Army Trousers商品ページ→http://shop.brick-layer.jp/?pid=157655512

Bricklayer Horii